冷静になってよく考えてみた。
 泣きはらした後だったので、いろいろと考えられた。
 相方と自分はなんで別れることになったんだろう?、と。

 自分達は、学校ですれ違ってばかりいた。4年間ずっと。
 自分は1年の夏ごろから彼女のことを意識し始めていた。その気持ちは、なんども挫折しそうになりながら、それから4年経った6月に相方にようやく伝わった。
 その4年間の間に自分は他の女の子と付き合った。みんな自分よりも強くて、勉強は自分よりできなくても、明確な夢を持っていて。羨ましいほどにまぶしかった。
 その彼女達は、必ず自分のことを羨ましがった。「頭の良いきららは、いろいろと将来苦労しなくて済むからいいよね。」って。

 正直、それは違う。
 自分は頭は良いわけではないよ。そう見せようとして、強がってるだけだ。実際には、あなた達のほうが目的をもって、それに向かって努力してる。何の目的も無く、ただ、だらだらと生きてきた自分とは違う。偉いよ。自分こそ羨ましい。

 中には、傷つけ合って終わった娘もいたし、遠距離の恋愛に耐えられなくなって、自然に消滅させた恋愛もあった。
 でも、それはやっぱり自分が傷つくのが怖くて、逃げていただけだと思う。
 もっと、傷つくことを恐れないで、もっと傷ついて強くなるべきだった。


 今回の付き合いで、まず自分が一番反省しなければならないのは、自分の目標を、相方に背負わせてしまったこと。
 自分が本当にやりたいことを自分で決められなくて、「相方のため」っていう言葉に頼って、相方に自分の目標を押し付けてしまっていたこと。
 相方は、この自分の押し付けに近い気持ちを「誠意」と取ってくれていたようだけど、それは違う。これは、明らか甘えだった。

 それに、友達でもないのに、いきなり付き合いはじめたのも悪かったと思う。
 いきなり付き合い始めて、確かに初めはいろいろと話せるかもしれないけれど、彼女と彼氏っていう枠に囚われすぎて、あまりにも話せないことが多かった。嫌われることが怖くって、お互いの本心を言い出せなかった。
 お互い、思っていることがあっても、やっぱり言葉にしなければ伝わらない。
 以心伝心。それは現実にはないことがすごく良くわかる。

 その枠が取り払われた今、自分は付き合っていたことを生かして、もっと沢山のことを相方と話せると思う。
 そして、実際に話始めた。
 4ヶ月の間に思っていたこと。腹が立ったけど、なかなか言えなかった事。
 ついたウソ。
 自分の本心。

 今でも、自分は彼女のことを相方って呼んでるけど、これから、もっと本当の意味での相方に、お互いなれるんじゃないかな・・・。
 もっと、話して、体当たりして、傷つけあってもお互い支えていられる。付き合うっていう契約が無くても、これからそんな二人になれるんじゃないかな。

 自分は、相方今でも好きだよ。
 そして、これからもずっと。
 この気持ちが、お互いまた深まったとき、今回よりももっと深い付き合いが出来ると思う。
 その時まで、自分はがんばろう。

 大学へ行こうという気持ちは、今、相方を離れて、自分自身へ帰ってきた。誰のために、なんのために大学へ行くのか。それは、これからゆっくりと決めて行こうと思う。

 最後に、今日、相方から借りた小説で、心の染みた言葉があった。

「あなたがいてよかった。だから、泣かないで生きていて。まだこれから陽のあたる人生をあなたは歩むのだから」
 そう言った、この物語のヒロインであるその女性は、生まれつき体が弱くて、このとき入院していた。そして、この二週間後、彼女は亡くなる。

 彼女は、お隣さんの息子さんにずっと恋こがれていて、死ぬまで彼のことを考えていた。そして、この言葉は、彼に彼女が言った最後の言葉。
挫折して、生きることに疲れていた彼に言った最後の言葉。

 苦しんだだけ、人はやさしくなれる。自分はそう思う。人の苦しみがわかる分、自分はその人に優しくできる。
 今回、相方の苦しみは痛いほどに伝わってきた。普段あまり悩むそぶりのない相方が、すごく悩んで出した結論だというのもわかる。2週間前くらいから、ずっとそれは感じてきた。
 実際にそうなってからでも、自分は相方には怒らなかった。
 怒るよりも、自分もそういう経験があったから、そういう時に、どんな風にしてほしかったか、わかるから、自分はそうしてあげた。無償で友達に戻ってほしいと。

 苦しみは、自分が背負えばいいと思う。相方にも悪い点は沢山ある。
 自分がいるのに、他の男性を好きになってしまったことを、否定できないこと。そして、さらにその気持ちを肯定するために、自分にそっけのない態度をとったこと。
 すぐに言えば、少しは楽になったのに、言わずに、自分が自分の気持ちを偽って、固定してしまった後で言われた。一生懸命に努力しよう。そして、相方のためにがんばろうって思っていろいろと努力した後に言われた。だから自分はどうしようもなく傷ついた。
 そして、何よりも好きだって気持ちを持続しようと努力しなかったこと。
 自分だって、「別れたい」って思うときはあった。
 でも、自分は絶対にそんなことは言わなかった。
 彼女は彼女自身が強い、とか鈍感だとか言う。
 でも、それは強くもなければ鈍感でもない。気づいていて、それで自分は傷つきたくないから逃げてるだけ。いつまで経っても自分の殻の中に閉じこもって、外を見ようとしないだけ。

 でも、それでも彼女のこと、好きだ。
 だから、相方に「自分はいくら傷ついてもいいから。君が幸せであればそれでいい。」って言った。自分は、傷ついた分だけ優しくしてあげられるから。相方には本当に幸せになってほしい。

 いつか、相方が本気の恋をして、その人のことを今の自分が相方のことを思うくらいに好きになったとき、自分が相方に言った言葉、少しでも思い出してくれると嬉しい。

 でも、まだまだ自分達はいけると思う。がんばろ。また好き合える日がくると思うよ。自分は少なくとも君のこと嫌いではないのだから。

 そして、これだけの心の力を育ててくれた前の相方に心から感謝したいと思う。君の教えはまっとうできたよ。いつか、君に会うことがあるかもしれないけれど、その時は必ずお礼を言うよ。
 自分は君が遠くに行ってしまったことに耐えられなくて、メール途絶えてしまったけれど、いつかメールじゃなくて、本当の心を、感謝の気持ちを君に伝えたい・・・

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